Temptation  2
「里緒、そんなにしたらジョリーに嫌がられるぞ?」

「ええーーっ?」

 ふかふかの毛に未練を残しながらも、里緒は俺の言葉に従いしぶしぶとジョリーを離した。

「じゃぁ、亮さんにちゅーーっ♪」

「えっ? おっ、おいっ、里緒?」

 ほんのりピンク色に染まった首筋と潤んだ瞳がせまってきて、里緒は俺の頬に唇をムニュッと

押し付けてきた。

 なんだ・・・・唇にじゃないのか・・・・・。(笑)

 どうやら里緒は親愛の情としてのキスをしているらしい。

 ちょっと残念に思いながらも、しがみついてくる里緒の背中をぽんぽんと叩いてやる。

 次の瞬間、里緒は両腕をつっぱってがばっと俺から離れた。

「・・・・・?・・・・・里緒?」

「・・・・・・あつい・・・・・」

 そう言うなり自分の着ている服を次々と脱ぎ始める。

「お・・・・おいおい・・・・り、里緒?」

「亮さん・・・・・好きぃ・・・・・」

 下着だけを残して全部脱いでしまった里緒は、瞳を潤ませたままで再び抱きついてきてキスをしてくる。

 ただし、今度は唇に。

「んっ・・・・」

 アルコールのせいなのか、里緒は今までに無いほど積極的に俺を求めてきた。しかし・・・・。

「里緒、ほら、いま水を持ってきてやるから、少し酔いを覚ましたほうがいいぞ?」

 愛する人にぴったりと密着されて情熱的に求められて、俺が反応しないわけがない。

 だが、酔って正体を失くした状態の彼女を抱くような真似は、さすがに出来ないだろう。

 俺は理性を総動員して、何とか里緒を離そうとした。

 が。

 里緒はふるふると首を振って俺から離れようとはしない。

 それどころか、ますます強くしがみついてくる。

「里緒・・・・・」

「・・・・・・・・・苦しい」

「・・・・は?」

 ・・・・・・・・里緒はついにブラのホックもはずしてパサッと床に落とした・・・・。

 そして俺の理性もそこまで。(爆)



「里緒っ・・・・・里緒っっ・・・・・!」

「あんっ! 亮さんっ・・・・っ」

 激情に負けた俺は里緒を抱えて寝室へと向かい、俺達のお互いの熱を分け与える行為は明け方まで

続いた。





「ぐっもーにん♪今朝のお目覚めはいかが?」

「・・・・・・・母さん・・・・・・・・」

 心も体も満たされて心地良い余韻に浸り、隣で幸せそうな寝息をたてている里緒を見つめていると、

突然電話が鳴った。

 相手は母だった。しかも朝の5時・・・・・・。

「送ったお酒はもう飲んだかしら?」

「あ、ああ、夕べ飲んだけど・・・・・。それよりどうしたの、こんなに朝早く。旅行先からかけてる訳?」

「いいえ、家からよ」

「え・・・・・・? だって昨日かけたら旅行に行ってるって留守電が・・・・」

「ああ、あれね。う、そ」

「・・・・・・はい?」

「だって、お酒を飲む前に話しちゃったらつまらないと思ってー」

「・・・・・・ちょっと、母さん?」

「それでね、あのお酒はタイミング良くイベントが起こるようにちょうど土曜日に着く予定で送ったのよ。

きっと着いたらすぐに開けるだろうと思って。

ズバリ! 孫の顔が見られそうな勢いかしらっ? ほほほほほほ♪」

 ・・・・イベントって何だイベントって。

「・・・・・・・・・・・説明して貰おうかな・・・・・はははははは・・・・・・」 (黙)

 やはり何かを企んでいたらしい母だった。

 息子を相手になんつー小細工を・・・・・・。